テナント募集を任せる不動産会社の選び方|オーナーが確認したい6つのポイント
店舗や事務所などのテナント物件を所有しているオーナー様にとって、どの不動産会社に募集を任せるかは非常に重要です。
同じ物件でも、不動産会社によって募集方法や対応、提案内容は異なります。
そして、その違いが成約までの期間や賃料、場合によってはオーナー様の収益に影響することもあります。
私は約20年、不動産仲介に携わってきましたが、借主側の仲介会社として他社の募集物件を紹介する機会も多くあります。
その中で、借主を紹介しやすい不動産会社もあれば、募集方法や対応によって、せっかくの成約機会を逃しているのではないかと感じる会社もあります。
今回は、そうした実務経験をもとに、店舗・テナントの募集を任せる不動産会社を選ぶ際に確認していただきたい6つのポイントをご紹介します。

1. 店舗・テナントの仲介経験と専門知識があるか
不動産会社といっても、得意とする分野はさまざまです。
住居の賃貸を中心に扱う会社もあれば、売買を専門とする会社、店舗や事務所などの事業用物件を中心に扱う会社もあります。
店舗・テナントの募集では、住居とは異なる知識や経験が必要になります。
例えば、飲食店の出店を希望するお客様がいた場合、単に「飲食店相談可」と記載されているだけでは、実際に出店できるか判断できません。
電気容量、ガス、給排水、排気設備、建物の用途や管理規約、貸主の意向など、確認すべきことが数多くあります。
普通借家契約と定期借家契約のメリット、デメリットを理解しているか
店舗・テナントの賃貸借契約には、主に普通借家契約と定期借家契約があります。
普通借家契約は、貸主からの更新拒絶などに正当事由が必要となる一方、定期借家契約は、法律で定められた要件を満たして契約することで、原則として期間満了により契約が終了する仕組みです。
どちらの契約方式を選ぶかによって、将来的な物件の活用方法や貸主・借主双方の権利関係が変わるため、オーナー様の意向や物件の特性に応じた判断が必要です。
事業用賃貸では契約書や特約の内容も重要
また、店舗・テナントの賃貸借契約では、契約書や特約の内容も非常に重要です。
特に原状回復については、居住用賃貸と事業用賃貸で取り扱いが異なるケースがあります。
例えば、居住用賃貸では通常の使用によるクロスや床の経年劣化は原則として貸主負担ですが、事業用賃貸では、契約時の取り決めによって借主負担とすることが認められるケースもあります。
また、店舗の場合には、退去時にスケルトンの状態に戻すのか、内装や設備を残してよいのかなど、契約時に明確にしておくべき事項も多くあります。
こうした取り決めによって、退去時の費用負担が大きく変わることもあります。
そのため、事業用賃貸の契約に詳しく、オーナー様の意向や将来のリスクを踏まえて契約条件を提案できる不動産会社を選ぶことが大切です。
不要な工事や費用をかけない提案ができるか
さらに、募集前の修繕やクリーニングについても、事業用物件ならではの判断が必要です。
例えば、借主が内装を全面的に作り替える予定であれば、貸主が費用をかけて内装をきれいにしても、結果的に無駄になってしまう可能性があります。
物件の状態や想定される借主の業種を踏まえ、どこまで貸主が費用を負担する必要があるのかを判断することも、不動産会社の重要な役割だと考えています。
2. 借主や他の不動産会社からの問い合わせに適切に対応しているか
これは、私が特に重要だと考えているポイントです。
店舗・テナントを探しているお客様は、出店にあたってさまざまな確認を必要とします。
例えば、
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希望する業種で営業できるか
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看板を設置できるか
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電気やガスの容量は足りるか
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内装工事に制限はあるか
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設備の追加工事は可能か
といった質問です。
借主側の仲介会社は、こうした質問を募集元の不動産会社へ確認します。
ところが、実際には対応がスムーズに進まないケースもあります。
貸主への確認を避けてしまうケース
借主から質問があり、募集元の不動産会社に確認をお願いしても、貸主への確認をなかなか行ってもらえないことがあります。
もちろん、貸主への確認には時間がかかる場合もありますし、すぐに回答できない内容もあります。
しかし、確認そのものが行われなければ、借主は出店の可否を判断できません。
せっかく物件に興味を持っていただいても、検討が進まず、別の物件を選ばれてしまう可能性があります。
質問するだけでも申込書を求められるケース
もう一つ、経験するのが「確認するには、まず申込書を提出してください」という対応です。
賃料の減額やフリーレントなど、具体的な条件交渉であれば、申込書を提出して借主の意思を明確にしたうえで交渉することは理解できます。
しかし、業種の可否や設備の確認といった基本的な質問についてまで申込書を求めるのは、借主にとって負担が大きいと感じます。
そもそも、営業できるかどうか分からない物件に、正式な申込みをするのは難しいのではないでしょうか。
不動産会社の対応によって、オーナー様が知らないところで借主の検討が止まってしまうこともあるのです。
3. 他の不動産会社が案内しやすい環境を整えているか
テナント募集では、自社だけでなく、他の不動産会社から借主を紹介してもらうことも重要です。
そのためには、他社が物件を紹介しやすく、内見しやすい環境を整える必要があります。
鍵の受け渡し方法も重要
例えば、物件の内見をするために、募集元の不動産会社まで鍵を取りに行かなければならないケースがあります。
物件と不動産会社が近ければ、それほど大きな負担にはなりません。
また、直接鍵を受け渡すことで、案内する不動産会社の担当者と顔を合わせられるため、安全管理の面でもメリットがあります。
しかし、鍵を受け取るために片道30分以上かかるような場合はどうでしょうか。
不動産会社まで鍵を取りに行くのに30分、鍵を受け取って物件へ戻るのに30分。
さらに、内見後に鍵を返却しに行くのに30分、そこから戻るのに30分。
つまり、鍵の受け取りと返却だけで合計2時間もの移動時間が必要になります。
これは物件の内見にかかる時間を含んでいません。
同じ条件の物件が複数あった場合、内見までの手間が少ない物件の方が紹介しやすいのは自然なことだと思います。
つまり、鍵の管理方法一つで、オーナー様が知らないうちに内見の機会を逃している可能性があるのです。
もちろん、防犯面や物件の管理状況によっては、直接鍵を受け渡す方が適切なケースもあります。
大切なのは、管理上の安全性を確保しながら、できる限り内見しやすい環境を整えることです。
他社の手間を減らす工夫
当社では、他の不動産会社ができるだけスムーズに物件を紹介できるよう、次のような対応を心がけています。
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REINS(レインズ)への募集図面や物件写真の掲載
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条件に応じた他社による広告掲載の許可
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携帯電話やショートメールでの問い合わせ対応
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物件の状況に応じたキーボックスの設置
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問い合わせや確認事項への迅速な対応
こうした取り組みは、一つひとつは小さなことかもしれません。
しかし、紹介する側の負担を減らすことで、結果的にオーナー様の物件を紹介してもらえる機会が増えると考えています。
私自身、借主側の仲介会社としてさまざまな経験をしてきました。
そのため、自分がされて嫌だったことはしない。されて嬉しかったことは、自分もする。
この考え方を大切にしています。
4. 募集情報を幅広く発信しているか
どれほど魅力的な物件でも、借主に情報が届かなければ検討してもらえません。
そのため、どこに物件情報を掲載し、どのように借主へ届けているかも重要です。
例えば、REINSは主に不動産会社間で物件情報を共有するための仕組みです。
一方、アットホームやテナント専門のポータルサイトなどは、一般のお客様が直接物件を探す際にも利用されます。
それぞれ役割が異なるため、物件の特性に応じて複数の経路を活用することが大切です。
また、単に掲載するだけでなく、募集図面の内容や写真の質も重要です。
店舗を探しているお客様が知りたいのは、立地、広さ、賃料、設備、業種の可否、視認性などです。
住居向けの情報をそのまま流用した募集図面では、店舗としての魅力が十分に伝わらない場合もあります。
実際に私が借主側の仲介会社として関わった物件でも、REINSには掲載されていたものの、募集図面の内容や問い合わせ対応に改善の余地があると感じたケースがありました。
その物件は現在も募集中ですが、空室の原因が募集方法だけにあるとは限りません。
賃料や立地、設備、需要なども関係するため、複数の視点から検討する必要があります。
大切なのは、「掲載しているから大丈夫」ではなく、「借主に物件の魅力が伝わり、検討しやすい状態になっているか」という視点です。
5. 募集状況を報告し、必要に応じて改善提案をしてくれるか
オーナー様にとって、空室が続くことは収入に直結する問題です。
特に、所有しているテナントが1区画だけの場合、その区画が空室になることで賃料収入がなくなってしまいます。
そのため、現在どのような募集状況なのか、問い合わせはあるのか、内見は行われているのか、といった情報は非常に気になるのではないでしょうか。
私は、募集状況の定期的な報告は重要だと考えています。
もちろん、報告の頻度や方法についてはオーナー様ごとに希望が異なります。
しかし、問い合わせがないからといって、何も連絡しなくてよいとは思いません。
問い合わせが少ないという状況も、募集条件を見直すための大切な情報です。
例えば、一定期間募集しても反響がない場合には、賃料が市場の需要に合っていない可能性があります。
また、業種制限が厳しすぎる場合や、そもそも希望する業種に必要な設備が備わっていない場合もあります。
そうした状況をオーナー様と共有することで、賃料や募集条件について改善提案がしやすくなります。
当社では、原則として月1回程度、募集状況をオーナー様に報告するようにしています。
報告は単なる経過説明ではなく、オーナー様に安心していただき、次の募集方針を一緒に考えるためのものだと考えています。
6. オーナーの利益を第一に考えて提案してくれるか
最後に、私が最も重要だと考えているポイントです。
それは、不動産会社が自社の都合ではなく、オーナー様の利益を考えて行動してくれるかどうかです。
例えば、賃料を安く設定すれば、借主が見つかりやすくなることはあります。
しかし、現在の市場でより高い賃料が期待できる物件を、十分に査定せず以前の賃料のまま募集してしまえば、オーナー様は本来得られたかもしれない収益を逃すことになります。
反対に、高すぎる賃料にこだわって空室が長期化すれば、結果的に収益が下がってしまう可能性もあります。
そのため、単に高い賃料を提案すればよいわけでも、早く決まる賃料にすればよいわけでもありません。
物件の立地、希少性、周辺の出店需要、設備、募集期間などを踏まえて、オーナー様にとって適切な募集方針を考えることが重要です。
また、必要のない修繕やクリーニングに費用をかけないことも、オーナー様の利益を守るための提案の一つです。
以前の記事でもご紹介しましたが、当社が仲介した川越の観光エリア周辺の店舗では、以前の賃料が約18万円だった約15坪の1階店舗を、約25万円で募集したことがあります。
募集開始後の早い段階で5社から申込希望が入りました。
このように、以前の賃料をそのまま引き継ぐのではなく、現在の需要や物件の希少性を踏まえて査定することで、賃料アップを検討できるケースもあります。
もちろん、すべての物件で賃料アップができるわけではありません。
大切なのは、オーナー様の収益を長期的な視点で考え、必要な提案をしてくれるかどうかです。
関連記事:川越の店舗賃料はどう決める?テナントの適正賃料・賃料査定の考え方
不動産会社を選ぶときに確認しておきたいこと
ここまで6つのポイントをご紹介しましたが、実際に不動産会社へ募集を依頼する際には、次のような質問をしてみるとよいと思います。
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店舗・テナントの仲介実績はどのくらいあるか
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どのような方法で借主を募集するのか
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他の不動産会社からも借主を紹介してもらえるか
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内見時の鍵の管理や案内方法はどうするのか
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募集状況はどのくらいの頻度で報告してもらえるか
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反響が少ない場合、どのような改善提案をしてもらえるか
こうした質問に対して、具体的に説明してくれる会社であれば、募集開始後の対応もイメージしやすくなると思います。
なお、募集を複数の不動産会社に依頼する一般媒介と、1社に任せる専任媒介の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:川越のテナント募集は一般媒介と専任媒介どちらがいい?
まとめ|不動産会社選びで大切なのは、オーナーの立場に立ってくれるかどうか
店舗・テナントの募集では、物件の立地や賃料、設備などによって成約のしやすさが変わります。
そのため、どれほど経験豊富な不動産会社でも、必ず早期に成約できるとは限りません。
しかし、募集方法や対応、提案内容によって、借主に検討してもらえる機会や、オーナー様の収益が変わる可能性はあります。
今回ご紹介した6つのポイントは、いずれも大切なことですが、根本にあるのは一つの考え方だと思っています。
その不動産会社は、本当にオーナー様の立場に立って考えてくれているか。
問い合わせへの対応、内見のしやすさ、募集情報の発信、賃料査定、定期的な報告。
こうした日々の対応に、その会社の姿勢が表れるのではないでしょうか。
店舗・テナントを所有されているオーナー様には、単に募集を依頼するだけでなく、安心して相談でき、物件の価値を一緒に考えてくれる不動産会社を選んでいただきたいと思います。
株式会社Laugh Lifeでは、川越市を中心に店舗・事務所・倉庫・工場などの事業用物件の仲介・管理を行っています。
空室募集や賃料査定、現在の募集方法についてお悩みのオーナー様は、お気軽にご相談ください。
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